入れ歯安定剤について
   

亜鉛という金属を御存知でしょうか?

亜鉛は金属でメッキなどに使われることは御存知の方も多いでしょうが、体の成分においても重要な元素で、体重の70Kg 人では体内に約 2.3g の亜鉛が含まれているそうです。もし、体から亜鉛が欠乏すると、代表的なものとしては味覚障害が生じる場合があります。特に高齢者の方では、「最近なんか味の感じ方がおかしい」として、内科や耳鼻科に受診したら亜鉛製剤を処方されたという方もおられるでしょうし、サプリメントとして亜鉛製剤を服用している方もおられるでしょう。しかし、なんでも「過ぎたるは及ばざるが如し」で取りすぎには注意が必要です。

さて、そこで歯科の話題ですが、入れ歯をお使いになっている方では「入れ歯安定剤」を使っているという方もおられるでしょう。この入れ歯安定剤には亜鉛が含まれていることがあります。私も詳しいことはわかりませんが、亜鉛は入れ歯安定剤の「吸着(くっつき)」に大きな影響を及ぼすのだそうです。

しかし。平成22年の2月に某社から発売されている入れ歯安定剤において、「亜鉛入りの歯科用接着剤の長期使用により健康障害を引き起こす」と警告が出されました。

この場合には亜鉛含有の入れ歯安定剤を長期に使用すると「手足の無感覚、ヒリヒリ感、脱力感、歩行困難、貧血」等の神経症状を引き起こす可能性があり、「1日1回を超えて使用しない。1日の使用量は 3cm 以内にする。」といった内容のようです。同社ではその後亜鉛含有の入れ歯安定剤の製造を中止したという話しです。このように、全てのことに言えることなんですが、多量に継続的に摂取すると薬も毒になりかねませんので十分に注意しましょう。

ということで、以前聞いた話しですが、「蕨を食べると癌になる。ではどのくらいの量を食べると癌になるか?それはトラック1台分だそうで」。笑い話のような逸話ですが、このように、「何々が体に悪い」といった情報がマスコミを駆けめぐることがありますが、あまり神経質にならないのも体のためです。御飯のお焦げだって理論的には発ガン性があるんですから。ともかく、偏った食生活にならずになんでも万遍なく食べることが重要ということなんでしょう。

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