混合診療&特定療養費 最終更新日 2014/02/01
歯科医療のQ&A

 混合診療とか特定療養費とか、一般の患者さんにはわかりにくい制度が医療には存在します。この両者はある意味同じものと言えるようで、似て非なるものです。本当に一般の方にはわかりにくい制度で、特に医療費に対する不信感の一因になっています。
 これらはどう違うのか、簡単に言うと「混合診療は違法」であり「特定療養費は合法」であるということです。

■ 混合診療

 混合診療禁止とは「初診から治療の終了に至る一連の診療行為の中に、保険のきく診療行為と保険のきかない診療を混在させてはならない。」と言うルールです。
 ここで誤解の無いようにお断りしておきますが、根の治療までは保険で行いその後の差し歯を保険外診療で行うのは「混在」といいません。「保険から私費」への移行ということになります。これは認められている行為です。
(参考)歯科領域の差額徴収の廃止に伴い、保険給付外の材料等による歯冠修復及び欠損補綴は保険給付外の治療となるが、この取扱いについては、当該治療を患者が希望した場合に限り、歯冠修復にあっては歯冠形成(支台築造を含む)以降、欠損補綴にあっては補綴時診断以降を保険給付外の扱いとするものである。(厚生労働省通知)

 では混合診療とはどのようなものを言うのか代表例をあげて御説明致します。
(1) むし歯や根の治療、又歯周病の治療などに際して、治療自体は保険で行い、加えて保険で認められていない薬剤を使用すること。
(2) むし歯や根の治療、又歯周病の治療などに際して保険で認められていない治療法を行うこと。
(3) 冠やブリッジ、義歯の作製において、形成(歯を削ること)や印象(型を採ること)は保険で行って、保険で認められていない設計、又は材料を使用ものを入れた場合。

■ 特定療養費

 次は特定療養費ですが、これは簡単に言うと「保険で認められている混合診療」です。
つまり、混合診療は原則的には認められていませんが特定のケースにおいては認められているのです。その代表例を説明します。

(1) 金属床総義歯を作製する場合
 この場合には義歯作製にかかわる診察料、検査料、印象料などは保険給付されます。また最終的に作製された金属床総義歯については保険診療相当額は保険から給付されますので、医療機関の窓口で支払う「金属床総義歯」の料金はその医院における金属床総義歯の料金から保険給付分を差し引いた金額となります。ただし保険一部負担金の支払いは別途必要です。
 なお、適用されるのは「金属床総義歯」を作製する場合ですが、以下のような場合には該当しません。
# 前回の保険義歯の作製から6ヶ月以上経過した場合。
# 金属床総義歯に「金歯」などを使用した場合。
# 設計上は総義歯であるが、その下に歯が残っている場合等。
# その他通常保険で使用されない設計、材料(軟らかいプラスチック)を使用した場合。

(2) 齲蝕に罹患している患者の指導管理に関する事項
これは小児齲触の治療に際して、再発抑制を目的として「フッ素塗布」や「シーラント」を行う診療のことです。
 ただし、この対象になるには詳細な基準があります。それ以外のケースについては特定療養費の対象外となります。
非常に複雑なので詳細は主治医にお尋ね下さい。
概要を記載します。
# むし歯の無い児童の「フッ素塗布」や「シーラント」は保険給付外です。
# C1のむし歯のシーラントは保険給付されます。ただし年齢制限があります。
# 齲触多発傾向者の「フッ素塗布」は保険給付されます。ただし年齢制限があります。

 なかに、保険外診療のポーセレン冠の治療時に保険一部負担金を徴収されたという苦情を目にすることがありますが、歯科診療は病名が1歯毎に付けられるためある歯は私費でポーセレン冠の治療をしていたとしても、歯周病の治療や他の歯の治療を並行して行っている場合にはそれらの歯の診察料や治療料が発生して保険一部負担金が生じる場合があります。例えば、内科に胃痛(胃炎)で通院している場合、同時にインフルエンザの予防注射を行った場合、インフルエンザの予防注射料は保険外診療として支払いますが、その他に胃炎の保険診療料は発生します。

なお、インフルエンザの予防注射などにおいてはその患者の当日の健康状態などを診査して予防注射の可否などを判断しますが、その診断費用は保険外診療となりインフルエンザの予防注射の料金に含まれることになります。
過日の報道で、「数百円で医療機関が購入したインフルエンザのワクチンを接種すると数千円の料金になって不合理」であるといった記事がありますが、それはちょっと見当違いです。数百円で購入した薬剤を単に販売する場合には、ある一定のマージンを乗せて販売すると言う考え方で良いのでしょうが、この際は「予防注射の接種」という医療行為に対する報酬がどの程度であることが妥当かということになります。前述したように、予防接種前の診察なども含めた総合的なコストを考えると、数千円という価格は妥当なものと言えましょう。また、予防接種自体の料金も医療機関によって大きく異なるという意見もありますが、自由診療である限り同じ料金であることの方が問題です。
 同じコーヒーでも飲む場所によって料金が異なるのと一緒です。問題は、それらの価格差を含めて患者側に選択をする上での情報が開示されているかということで、ある意味医療版の価格.comがあっても良いのかもしれません。いや、あるんですけどね。


とにかく、混合診療&特定療養費の問題は非常に複雑で私にもわからない点が沢山あります。このページでも充分説明しきれていない点も多いので御了承下さい。

■ 参考資料

# 厚生労働省: いわゆる「混合診療」問題について

# 厚生労働省: 特定療養費のページ


山形市