歯の治療上の注意
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★ 初診時の注意

# 保険証の持参
 保険診療を受ける場合には、なにはなくても保険証を持参しましょう。

# 予診表の記載
 多くの歯科医院に於いては、初診時に「予診表」を書いて頂いております。これは重要ですので、間違いの無いように漏らさず記載して下さい。また、保険外診療に対する希望などの記載欄がある場合も、あります。この場合、全て保険診療で行ってもらうことを希望する場合には、ちゃんと該当欄に記載しましょう。逆に、内容によって保険外診療を希望する場合にも、その旨記載しましょう。

# 通院歴や服薬歴
 「他の診療科にかかっている」「何々の薬を飲んでいる」などは、診療の際に重要な情報源となります。このような情報が適切に得られない場合、薬の重複投与や飲み合わせによる事故などの可能性もあります。受診の際は適切に申告して下さい。

★ 再診時の注意

# 保険証の持参
 多くの歯科医院に於いては、再診月に於いても月初め(主に毎回)に保険証の確認をしておりますので、忘れないで持参しましょう。
 なお、月初めだけではなく受診毎に提示を求める場合があります。

# 体調の告知
 特に、当日麻酔を必要とする治療や、抜歯をはじめとする手術が予定されており、体調が優れない場合には、受診時に申し出て下さい。夜勤明けの疲れた状態での歯科治療が好ましく無い場合もあります。この様な場合にもお申し出下さい。

★ 麻酔時の注意

# 麻酔による感覚麻痺
 麻酔をすると、薬剤や体質によって30分〜数時間感覚が麻痺します。従って、麻酔がきれるまでは唇などの誤咬や火傷に充分注意して下さい。特にお子様をお持ちの保護者の方は、子供さんの治療の際には充分注意をして下さい。
注: 麻酔がきれるまで、麻酔をかけた方にガーゼなどを咬ませておけば誤咬には有効です。

# 麻酔による事故
 歯科の治療時には日常的に麻酔が使用されています。麻酔薬は基本的に劇薬で、薬剤による「中毒」「アナフィラキシーショック」などが希におこることがあります。中毒に関しては多量(1回の麻酔でカートリッジ数本ならば一般にはなんら問題はありません)を使用しなければ問題は無く。歯科医師も使用量に充分注意しますのでほとんど心配はありません。しかし、アナフィラキシーショックは予想できない場合が多いです。これらを防ぐには患者さんからの「麻酔歴」や「当日の体調」のお申し出が一番の頼りです。
 従って、初めて受診する歯科医院では「以前に麻酔をした経験の有無」などを申告し、治療の際に「体調の不良」などがありましたら、受付又は主治医に一言申し述べて下さい。
 なお、麻酔によるショックは1度目にはおこらないが、2度目におこることが通常ですので、麻酔をしたことが1回あってなんともなかったといっても安心はできません。まぁ、複数回の経験があれば通常は問題ありません。

★ 抜歯時の注意

# 抜歯後の出血
 抜歯後、数時間にわたって微量の出血が続く場合があります。口の中に於いては、微量の出血があっても、唾液に混じって大量の出血があると錯覚する場合があります。唾液に血が混じるくらいの出血はほとんど心配は要りませんが、状況によってはかかりつけの歯科医院にお尋ね下さい。

# 腫れ
 抜歯後に限らず、腫れなどの炎症がある場合、甘いものや辛いものなどの刺激によって腫れが一時強く出る場合があります。症状が強い場合には特に、こういった食べ物は控えるように注意しましょう。

# 術後の安静
 歯の治療に限らず、術後は安静が基本です。しかし、口というものは一番安静状態を取りにくい所なのです。食事をとったり、話をしたり、夜間に無意識に歯ぎしりをしたりと大変です。こういったことを踏まえ、できる範囲内での安静をお勧めします。歯科医療における安静とは、寝ていることではなく、簡単に言うと「口を動かさない」ことです。

★ 薬剤服用時の注意

# 抗生物質服用時の注意
 抗生物質の服用による消炎治療は、まさに「火事の消火活動」と同じです。主治医の指定したとおりの服用を心がけましょう。また、疑問点はすぐに尋ねましょう。

※ 火事の消火活動: 
 抗生物質の服用による消炎治療は、まさに「火事の消火活動」と同じです。消火には、その火事の規模にあわせた消防車の出動と放水量の決定、そして火元にあわせた消火材料を選択して、完全に火種がなくなるまで放水する必要があります。
 抗生物質投与の場合も検査によって原因菌の特定を行ったのちに、その菌に効力のある抗生物質を必要量投与します。しかし、実際歯科治療時に感染菌の特定をする検査を行う場合は少なくいわゆる広域スペクトルといって多くの菌に効力のある薬剤を投与します。しかし、まれに充分な効力が得られない場合があり、この場合には薬剤の種類を変えます。
 また、火事の消火の際、一旦火が消えたと思っても残り火から再度出火することがあり、最後の一押しの放水が重要です。抗生剤の利用も同様で、3日分を飲んで症状が完全に消退しない場合には続けて服用することが必要です。たまに、3日分を服用してその後数日経過してから再度来院して薬を希望する方がおられますが、こういった服用法は耐性菌を作ったりしやすいので気をつける必要があります。
 それと同様に、1日飲んで症状が治まったからといって自己判断で服用を中止することも問題です。火種が残っているかもしれません。

# 薬剤の副作用
 医薬品に副作用はつきものです。そして副作用の出やすい人、出にくい人なども様々です。
 平成16年に抗生物質の副作用で「意識を失う」などの現象があらわれるものが明らかになり医薬品安全情報などで注意喚起されました。
実際それらの情報が出る前に投与された例で、服用後意識を失い車を運転中に事故をおこしたケースもありました。
医療機関ではそれらの情報をもとに薬剤の処方を中止したり、患者さんへの注意喚起を行います。それらを踏まえ、薬を服用する場合には以下の点に注意して下さい。
(1) 以前に処方された薬を自己の判断で服用しないこと。
(2) 他の人から貰った薬を服用しないこと。

★ 詰め物の注意

# 取れたときはお早めに
 インレーなどセメントでつけてある詰め物があります。これは時に取れることがあります。単に取れたときは速やかにつけることが大事です。取れたまま放置すると、虫歯になったり取れたものが入らなくなったりするのはもちろん、時には再治療が不可能になったりする場合もありますので御注意下さい。

# 詰め物の変色
 主として前歯に詰めるプラスチックは変色します。材料の変色は審美的な問題だけですが、プラスチックと歯の境目からの虫歯によるライン状の変色もあります。これらは専門家でないと見極めがつきにくいですので、気になる方はお尋ね下さい。

# 詰めた物がとれたら
とれた冠などを再度歯にくっつけることを「脱離再装着」といいます。まぁ、たまにはこういうこともあります。そしてこの様な事態を契機に二次カリエスが発見され早期に治療できることもあります。しかし、とれた冠などをティッシュにくるんで持参するのだけはやめましょう。時にはくっついたガムなどと一緒にティッシュが冠にくっついているケースがあります。これでは折角つけられるものもつけることができなくなってしまいます。くれぐれもとれた冠などは、サランラップやアルミホイルなどで包むか、タッパーなどの容器にいれて持参するようにお願いします。

★ 入れ歯を入れた時の注意

# 入れ歯とは
 入れ歯を入れるということは、たとえて言うと脚を切断してもいで、義足を入れるのにも似ています。義足を入れた日からすぐトコトコ歩いたり、山登りをしたりはできません。そのようにスムーズに使えるようになるにはリハビリ(機能訓練)が必要なのは言うまでもありません。入れ歯を入れた時も同じです。最初は柔らかいものから始めて徐々にならしていくことが大事です。

# 初めて入れ歯を入れた時
 義歯を初めて入れた時は違和感が強く、慣れるまで時間がかかる場合があります。これは患者さんの性格、義歯の大きさ、設計等により差があります。違和感を強く感じる人は短い時間で良いですから、少しずつ使用して時間をかけて慣れるようにして下さい。

# 入れ歯の目的
 義歯の目的は、物を咬む・審美性に加えて、他の残存歯牙の保護の役目となることも有ります。製作した義歯はなるべく使用するようにしましょう。

# 作りたての入れ歯
 作りたての義歯は、咬み合わせの不都合や、義歯による歯肉痛等が生ずる場合が有ります。歯肉に傷がつくような不都合は義歯の調整の必要が有りますのでお申し出下さい。

# 入れ歯の取り外し
 義歯の取り外しの際はまっすぐに取り外すようにして下さい。特にバネのついた義歯は、バネが曲がったり折れたりする場合が有りますのでご注意下さい。

# 唾液の重要性
 入れ歯にとっても唾液は重要なものです。色々な病気で出される薬には唾液の分泌を抑制するような働きをするものが沢山あります。こういった薬を服用した場合には、唾液の分泌の現象によって以下のようなことがおきます。この様な場合には、時として「人工唾液」の使用が有効な場合がありますので御相談下さい。
(1) 入れ歯と歯ぐきの間の潤滑油的な唾液の現象によって、「入れ歯があたって痛い」という現象がでることがある。
(2) 特に総入れ歯の場合には、入れ歯と歯肉の間を密着させる唾液の現象によって、「入れ歯がゆるい」という現象がでることがある。

# 入れ歯をはずしたままにしておくと
 長期間(たとえば1週間以上 ただし症例により異なる)義歯をはずし たままにしておくと、義歯が入らなくなったりする場合が有ります。特にバネの多い複雑な義歯においてはご注意下さい。

# 食後に茶碗やお皿を洗うのと同じです
 物を食べた後は義歯をはずして、義歯及び口腔内をきれいに清掃して下さい。

# 義歯の清掃
 洗浄の際、義歯洗浄剤等を使用した方がより効果的ですが、洗浄剤の使用上の注意を良く読んで使用して下さい。また、総入れ歯のかたは使用の際にはカンジダ菌に対する殺菌効果のあるものが有効な場合があります。

# 入れ歯の保管
 夜寝る時は義歯をはずして寝て下さい。その際義歯は、適当な入れ物に水を入れてその中に保管して下さい。

# 入れ歯を飲み込まないように
 小さな義歯においては、誤って飲み込む恐れがありますのでご注意下さい。特に義歯を入れたまま寝込んだりしないようにして下さい。

# 入れ歯の調整は簡単ではないのです
 義歯は自分で削ったり、バネを自分で曲げたりしないで下さい。自己の責任により義歯に不都合が生じた場合には、義歯の調整・修理・再製が不可能な場合があります。

# 義歯のメンテナンス
 入れ歯も道具の一つです。メンテナンスしだいで長く使うことが可能となる場合もあります。 

# 6ヶ月間は再製作はできません
 保険では原則として6ヶ月間新義歯の再製作は給付されておりません。 義歯を無くしたりしないように注意しましょう。 また、義歯の裏側への裏打ち後も6ヶ月間義歯の再製作が不可能な場合がありますので御注意下さい。

# 古い入れ歯もとっておきましょう
 針供養などは以前から聞く言葉であるが、先日入れ歯の供養祭を行ったというニュースがあった。供養祭自体は結構なことであるが、その際に古い入れ歯を処分(燃やす)してしまうのは考え直して頂きたい。使い古した入れ歯は診断のための重要な情報源である。
(1) 入れ歯は作ったものの合わなくて使わなかった。
(2) 使いやすい入れ歯であったが、壊れたので作り直す。
 この様な場合には、以前に使っていた入れ歯は重要な情報源です。情報なくして的確な診断も、入れ歯の設計も不可能なのです。箱などにまとめてとっておきましょう。

★ その他

# 予約診療
 多くの歯科医院では地域性や通院患者層にあわせて診療システムを作っております。その中に、予約制があります。予約をして待ち時間無く診療を受けたい方、暇を見つけて好きな時間に通院なさりたい方などさまざまでしょう。御自分のニーズに合わせて通院先をえらぶことが大事です。

# メンテナンス
 歯科治療後は、ある意味で「車を買った」のに似ています。維持管理にある程度のコストがかかったり、御自分でできないメンテナンス作業などを歯科医師といったプロにお願いしなければならない場合もあります。もちろん、メンテナンスが不必要な方もおられますが、一般には「歯周炎」や「虫歯のなり始め」には長期的なメンテナンスが必要となる場合もあります。

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