唾液の重要性
Top  

■ 「傷口を舐め合う」という言葉があります。また、動物が怪我をした場合などにも傷口を舐めるし、人間も時には行います。
 それは、唾液に中にEGFという上皮成長促進因子が含まれているからです。

 それと同様に、唾液には歯の傷口、つまりむし歯を治す力があります。むし歯というのは、ミュータンス菌が糖分を分解し産生した酸が歯を溶かしてできる傷口なのです。しかし、唾液に含まれる成分が常に微少な傷口(軽度のむし歯)を修復しているので普通はむし歯が大きくなることがありません。しかし、むし歯をつくる速度(危険性)が大きくなると、唾液の持っている修復速度が追いつかなくなり次々とむし歯が拡大していくことになります。また、むし歯をつくる速度が大きくなくても、唾液の持つ修復能力が小さいとむし歯が拡大していくことになります。この唾液の持つむし歯の修復能力を「唾液の緩衝能」といいます。

 当院でこの唾液の緩衝能の検査をすると、やはりむし歯が多い子供の唾液の緩衝能が低い傾向が歴然とあらわれてきます。従って、この唾液の緩衝能が低い子供はむし歯になりやすいということですので、色々な方法でむし歯予防処置をとる必要があります。

 つまりこうなのです。あまり頑張って勉強しなくても学校の成績が良い生徒もいれば、頑張って勉強しても成績があがらない生徒もいます。後者の場合は家庭教師をつけたり塾に行ったりして手をかけて成績向上に取り組まなければなりません。
 それと同様に、むし歯リスクが低く、とりたてて頑張って歯磨きをしなくてもむし歯にならない子供に対しては、一般的な口腔衛生レベルとして歯ブラシ指導を行うだけで済みますが、唾液の緩衝能が低くむし歯リスクが高い子供は、歯ブラシの方法・フッ素やキシリトール・シーラント・食事(生活)指導・むし歯菌の減少・唾液の緩衝能の増強などの様々な方法でむし歯予防処置を行わなければなりません。

 では、唾液の緩衝能をあげるにはどうするか?一番簡単なのは唾液の流出量をあげることです。一般にはガムを咬んだときに出る唾液の量が3分間に5ml以下であればちょっと少ないと思われます。この唾液の流出量は咀嚼回数と大きな関連がありますから、常日頃から歯ごたえのある咬む回数の多い食生活を心がける必要があります。

■ 唾液の作用

 〉覯失醉

◆‖単佞亡泙泙譴襯ルシウム・リン酸・フッ素により歯の再石灰化

 緩衝作用
  唾液の重炭酸により、細菌で作られた酸を中和

ぁ‖単嫦罎離螢哨繊璽燹▲薀トフェリンなどの抗菌作用。

唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素は癌、動脈硬化、糖尿病、心臓病などの原因となる活性酸素を除去する。

■ 口腔乾燥症(ドライマウス)

 ドライマウス(口腔乾燥症)はドライアイとともに最近脚光を浴びている用語であるが、日本国内における推定患者総数は800万人と言われています。安静時の唾液分泌量が10分間に1CC以下になるものを口腔乾燥症という。

■ 口腔乾燥症の基本たる唾液の知識

# 唾液の成分
(1) ヒスタチン⇒抗菌作用⇒虫歯・歯周病(リゾチュームやラクトフェリンといった抗菌物質)
(2) アミラーゼ⇒消化酵素
(3) 免疫グロブリン
(4) 組織トランポプラスチン⇒止血
(5) EGF(上皮成長因子)母乳にもある タンパク質であり粘膜の角化・食道内壁の修復・胃潰瘍の修復
ストレスなどにより唾液の分泌が少なくなり諸病気が多くなる。
(1) 硬いものを食べる
(2) 咬む回数を多くする
(3) 大きな声ではっきり
(4) 自律神経(ストレスをためない)
NGF(神経成長因子)は唾液の中にもある
壊れた記憶の修復・ボケの防止・神経細胞の修復
シナプスの形成を促進しアセチルコリンの伝達の促進・老化防止は唾液の中に

# 唾液の重要性

(1) 唾液の分泌が少なくなると、口の中がヒリヒリし、義歯を入れた時の痛みなどに通じる。
(2) 唾液の分泌低下は、50億から100億といわれる口腔内の常在菌の誤嚥による肺炎の原因になるので死亡原因の一つとして重要なファクターと言われています。

放射線治療を行うと唾液の分泌が良くなくなる場合がある。

# 唾液の役割

(1) 口臭の防止:口腔内の洗浄効果と、口臭原因物質の揮発の防止
(2) 消化酵素による食物の消化
(3) 抗菌作用による口腔内における感染の防止

■ ドライマウスの主たる症状: 舌の激痛・虫歯(歯周病)の悪化・味覚障害・ひどい口臭

■ ドライマウスにはどんな人がなるか
 .好肇譽垢多い → 量が少なく、ネバネバした唾液
◆〔剤 → 肝臓で薬剤が分解される時の物質が阻害 睡眠・抗ヒスタミン剤・血圧
 柔らかい食べ物だけ食べる → 筋肉によって制御されている
ぁゞ枋イ靴笋垢
ァ‖単嫣の病気(シーグレン症候群)

■ ドライマウスの予防

 ‖単嫣のマッサージ
耳下腺を押す 
顎下腺を押す
舌下腺を押す
口の周りの筋肉のトレーニング「い」「う」の発音
舌打ち「チェ」とやる

◆〆布を口の中にいれる「1cm×2cm角」→咬んだり食べたりしない(以上 東大阪市の本田先生の資料より)
※ 注意: 日本人はただでさえヨードの摂取量が過多とも言われます。特に、ヨードの取り過ぎに注意の方にはお勧めできません。また、健康な方も取り過ぎには注意しましょう。

■ 口腔乾燥症
口腔乾燥症によりQOLの低下、感染症の原因となる。
原因は薬剤の副作用やストレス、筋力の低下?

緊張して口がカラカラになることなどはストレスにより口腔乾燥症がおきる代表例。

唾液分泌の神経支配は、交感神経と副交感神経。
交感神経による唾液は水分量が少なくタンパク質が多いのでネバネバする。
副交感神経による唾液は水分が多くタンパク質が少ない。緊張したりすると交感神経が刺激され唾液の水分量が少なくなり口の中がネバネバした感じとなる。

唾液分泌量低下の三分の一の人はストレスが原因。(鶴見大学歯学部付属病院ドライマウス専門外来調査)

ドライマウスの原因となるのは、糖尿病腎疾患や身体的社会的ストレス。口腔心身症。
ドライマウスの原因となる薬剤
抗うつ剤 抗不安剤 抗精神薬 抗パーキンソン病薬 抗高血圧薬 抗ヒスタミン薬 利尿薬 抗コリン作用薬 抗痙攣薬 鎮痛薬 気管支拡張剤

■ ストレス性ドライマウス
強いストレスを受けると、交感神経が刺激され、唾液の分泌が抑制される。これを治すために精神薬を使用すると薬剤性のドライマウスの原因となる。ストレスコントロールとして、「物事をポジティブに考える」アドバイスが有効。

■ ドライマウス対策薬品(以下は一例です)
# オーラルアクアジェル(GC): 40g・1000円
# バイオエクストラ(ウェルテック)
 .丱ぅエクストラマイルドペースト: 67g(歯磨き剤)
◆.丱ぅエクストラアルコールフリーマウスリンス: 250ml(洗口剤)
 バイオエクストラアクアマウスジェル: 50g(口腔用ジェル)


★ 唾液 & 再石灰化 & 歯石の三題話

# ハチミツに歯石予防効果
山田養蜂場と福岡医療短期大学の研究によると、ハチミツに歯石予防効果があることが確認された。その効果は抗歯石剤として歯磨剤に含まれるエチドロン酸と同等とのこと。
なお、ハチミツの色と「抗歯石」作用には相関関係が見られ、「透明→黄色→褐色」と色が濃くなるほど抗歯石作用(HAP形成反応に対する抑制力)が強くなる傾向が見られた。研究によると、ハチミツの色には「フラボノイド」が含まれており、それが原因となっているようだ。
HAP: ハイドロキシアパタイト
エチドロン酸: エチドロン酸4Naなどに代表されるキレート剤で、弱いながらもエデト酸のような経口毒性、水生生物毒性がある

# その他の歯石形成抑制作用剤
茶葉から抽出されたポリフェノールとゼラチンとの混合物(1〜1.25:1)は歯石形成抑制効果を持ち、含嗽剤や塗布剤、チューインガムとしての利用も効果的。
お茶は、むし歯はもちろん、ガン予防にも良いと聞きますが、ポリフェノールに歯石の抑制効果があるとは知りませんでした。赤ワインでも飲もうかな?

# どうして歯石はつくか?
では、どうして歯石って付くんでしょうか?唾液には「歯に再石灰化しやすいものと再石灰化しにくい」ものとがあり、再石灰化し易い唾液の人は、むし歯になりにくいが歯石もつきやすい。この唾液の性質を「唾液の緩衝能」と言います。

# これらを考えると、「ハチミツ」にしろ「エチドロン酸」にしろ、「歯石の形成抑制剤」によって、歯石が付きにくくなることが、むし歯の再石灰化を妨げる結果とならないかという疑問も残る。ちなみに、これは以下の論文によっても述べられている。

# 洗口剤の口腔内リン酸カルシウム沈殿物形成に与える影響
洗口剤によるin vitroリン酸カルシウム沈殿物形成の抑制
口腔衛生学会雑誌
Vol.55, No.3(20050730) pp. 165-172
ハイザック > コンクール > モンダミン > GUM > レノビーゴ > リステリン > 1/15希釈イソジン > 1/50希釈ネオステリングリーン > 絹水 の順。
文献では: 「これらのことから市販の洗口剤が副作用として抗歯石・抗エナメル質再石灰化作用を有する可能性が強く示唆された。このため、洗口剤の適用にあたっては抗石灰化効果を考慮に入れておく必要があると思われる。」としている。

# 結論: 歯石なんてついても良いんじゃないですか、取れば!

山形市