歯科医療とX線撮影
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■ 自然放射線

 まず、私たちが地球上で生活している以上、地球から放射されるまた宇宙からふりそそぐ放射線を浴びているということができますこれを「自然放射線」といい。住む地方の緯度や高度などによって差があり、例えば年中高空を飛行する航空関係者の放射線被曝が問題となる場合があります。
ちなみに年間に受ける自然放射線量は2.4mSV(シーベルト)と言われています。

■ 放射線による害

 放射線を多くあびると色々な害があります。その概要は以下の通りです。

臓器 影響 しきい値(mSv)
精巣 一時的不妊 150
永久的不妊 3,500
卵巣 不妊 2,500〜6,000
水晶体 白内障 5,000
骨髄 造血機能低下 500
胎児 奇形発生 100
精神遅滞 120〜200

* 例えば「精巣に150mSvのX線を浴びると一時的に不妊が生じるという意味です。また上記にあげた他にも発ガン性などの問題が生じます。

では医療行為においてどの程度の被曝があるのか?主なものを記載します。

部位 実効線量(mSv) 胎児の被曝線量(mSv)
1年間の自然放射線 世界平均: 2.4
日本平均: 1.4
 
胸部直接撮影 0.13 0.01以下
腰椎撮影 0.78 0.35
胃透視 4.15 0.22/分
CT(頭部) 1.09 0.005以下
歯科標準撮影 0.0163〜0.0391  
歯科パノラマ撮影 0.0399〜0.0436 同上

# 上記のデータは以下のものを参考にしています http://8020.or.jp/preg/page4.htm

 当院では歯科標準撮影「デンタル」(小さいフィルムのもの)は0.03mSv、歯科パノラマ撮影(大きなフィルムのもの)0.042mSvとして計算しています。歯科医療では主に口腔内全体を総覧的に診る場合にはパノラマ又はデンタル(10〜14枚法)を利用します。

 仮に歯周病と5本の歯内療法(神経の治療)で1年間通院し、パノラマを1枚、歯内療法上のデンタルを1本について2枚撮った時の被曝放射線量の概算は、0.042mSv+(0.03mSv×2枚×5本)=0.342mSvとなり、その総量は年間の自然放射線量の1/6程度に過ぎません。

 たしかに妊娠初期など、X線撮影を避けた方が良い場合はありますが、一般の歯科医療においてさほど気にする量ではないので御安心下さい。

■ 当院では平成17年より、通院中の患者さんのX線撮影データベースを利用して期間(年間)放射線量を管理しています。他の医療機関でX線撮影を受けるため等の参考として当院における被曝放射線量をお知りになりたい方は院長までお申し出ください。

山形市