むし歯の鑑定
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図A(ダイアグノデント) 図B 図C

■ むし歯を判定(鑑定)する場合には、まず診て判定します。しかし、歯と歯の間の初期むし歯を見つけるのはなかなか難しく、又奥歯の噛み合わせの面の溝、、、これまた難しい。かつては探針でつっついてチェックしていたが、最近はかえってエナメル質の結晶を破壊してしまうという理由で使用しないことが多い。しかし、溝の所が黒くなっていると見ただけではむし歯か否かの判定は難しい。実際、それを根拠に学校健診でむし歯と判断されて「治療勧告書」が出されるケースも多い。

 見ただけでわからないむし歯を判定するために利用されるのがX線写真である。しかしX線写真でも全てのむし歯のケースで判定することは難しい。そこで最近(でもないか?)発売されたダイアグノデントの出番である。ダイアグノデントはドイツのKaVo社から販売されている「レーザー式歯面状態確認装置」で、検知対象は裂溝齲触・隣接面齲触・治療中の残留齲触などとなっている。しかしこれとても万能では無く、X線写真など様々な方法を併用して診断しなければならないのです。

■ では、X線写真とダイアグノデントの特性はどのようなものか?
 むし歯の進行は主に「むし歯の大きさ」と「むし歯の進行度(歯の溶け具合)」から判定される。

01 02               10

 例えば上の表でたとえると、左端の01はむし歯の無い状態、一番右端の10はむし歯が進行して歯が溶けた状態とします。目で見たり、X線写真で見た場合には、01と10の差は一目瞭然ですが、01と02の差は判別しにくいのはおわかりでしょう。こういった場合にはダイアグノデントを利用してレーザーを歯に当ててみると、反射波の状態によって01と02の違いは良くわかるのです。

 次に上の「図B」と「図C」を御覧下さい。
図B: 大きな楕円が歯をあらわしています。その中の左の灰色の丸は、軽度に進行した小さなむし歯をあらわし、右側の白い丸は重度に進行した小さなむし歯をあらわしています。
図C: 大きな楕円が歯をあらわしています。その中の灰色の丸は、軽度に進行した大きなむし歯をあらわしています。

 TFTのモニタでこのページを御覧の方は、画面を見る角度を変えて見て下さい。右45度くらいからみると、図Cの外と中の色は判別しにくくなります。しかし図Bの右の白い小丸はいつまで経ってもはっきり見えると思います。

 つまり、ダイアグノデントによる検査では微少の色の違い(むし歯の進行度のちがい)が判別できますが、むし歯の大きさを判別することが難しいのにたいして、目視又はX線による判別は、むし歯の大きさを判別することには有効ですが、むし歯の微妙な進行度合いを判断することには適していません。

 私も、日常の診療で、「レーザーに反応はあるが、X線で見てもむし歯と判断しかねる」というケースに多く出会います。こういった場合、症状やその他の所見を元に、歯の間のエナメル質を削ってみる場合がありますが、多くの場合にはある程度歯の溶けかかった大きなむし歯に出くわします。もしX線だけであれば見逃していたむし歯になっていたのかも知れません。同じX線でもデジタルX線の場合には画像をソフト処理してこういった微少の変化をチェックすることも可能ですがそれには手間がかかります。

 つまり「むし歯の鑑定」には一つの方法だけに頼らず、様々な方法の得意な機能を利用することにが大事であろうということです。
 ということで当院においては、このダイアグノデントはいまでは診療になくてはならない機器の一つとなっています。

山形市