保険証の取扱い
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● 保険診療を受ける場合には保険証の提示が必要です

 医療機関を受診の場合には保険証を持参下さい。
 以前は、保険証は一世帯に一枚しかなかったので、保険証の確認は「毎月、月初めに一度」というのが一般的でしたが、現在は「保険証は一人に一枚」となっていますので、「受診毎に毎回確認が必要」とされています。従って、医療機関に受診の際には毎回保険証の提示をお願いします。
 保険診療は、一般には医療機関の窓口で3割を支払いますが、残りの7割は保険者から支払われます。ある意味、クレジットカードで買い物をしているのと同じようなものです。クレジットカードで買い物するときは、買い物の都度カードの提示が必要なのと同じなのです。

● 保険診療を持参せず医療機関に受診した場合

 保険証を持参せず、医療機関に受診した場合には保険診療の取扱いがなされず、各医療機関の定めた自費診療による診療となります。この場合、医療機関の発行する証明書を保険者に持参することにより、当該診療にかかる保険診療相当額のうちの保険給付率にあたる金額が療養費払いとして払い戻しとなります。この場合、医療機関に支払った金額の保険給付率で無いことに留意してください。なぜなら、保険診療費と各医療機関が定めた自費診療費は異なる場合があります。

 ただし、保険証を持参しない場合においても、下記の「保険資格証明書」を持参した場合には保険診療として保険診療で定められた医療費で診療を受けることができます。ただしこの場合に於いても保険診療費の全額を医療機関の窓口で支払、その後保険者から払い戻されるのは同様である。(昭61.12.27 保険発113)

● 保険診療の制限

 次のような場合には保険診療を受けることができません。

(1)旅行等により一時的に日本国外にいるとき
(2)自殺行為や薬物中毒など故意の病気やケガ
(3)その他、泥酔など著しい不行跡による病気やケガ
注:交通事故などに於いて保険診療を受けることは可能ですが、第三者行為による傷害の場合には保険者が加害者に対する損害賠償権者になりますので届出が必要です。

● 保険資格証明書について

保険資格証明書の提示による保険診療の取扱いは上記で述べたとおりである。
しかし、この「保険資格証明書」には2種類存在するので注意が必要である。

(1) 国民健康保険の「保険資格証明書」
 これは主に、保険料を滞納した人などに交付されるもので、厚生省通知のとおり保険診療費の全額を窓口で徴収する必要がある。一部負担金のみの徴収で診療をするとトラブルの元になる。

(2) 主として共済組合の保険証の検印時に発行される「保険資格証明書」
 これは、(1)とは異なり一部負担金の徴収のみで保険診療を行っても現実的に問題はない。しかし、「保険資格証明書」の本来の取扱いは厚生省の通知で定められているとおりなので、保険者から否認されれば対抗要件は存在しない。よって各医院の自己責任に於いての取扱いとなる。実際、当院でも院長決裁による自己責任でそのような取扱いをしている。

しかし、医療機関に於いてはなかなか区別をするのが難しいので、内容の異なる同じ「保険資格証明書」と言うものが存在する仕組みに問題がある。

● 保険証のコピー

効力がありませんので、保険証のコピーで保険診療を受けることはできません。

同様に名刺や身分証明書の提示によって保険診療を受けることはできません。

 コラム: 保険証はどうして毎月提示しなければならないか?

 原則的に保険証は毎月、又は受診毎に医療機関の窓口に提示して、保険資格を確認しなければなりません。なかには1回提示すれば良いのではと思っている方も多いと思います。たしかに多くはそれで問題ないのですが、診療中に保険資格を失ったり変更になる例が非常に多く、その結果として保険資格過誤というトラブルが多く発生し事務負担となっているのです。中には、保険資格が不明なため医療機関に医療費が支払われないケースもでてきます。もちろん、保険資格過誤には医療機関に責任があるケースもあり、全てが受診者の方々の責任といえるケースではありませんが、少しでもこういった過誤を減らすためにも、毎月の受診の際には保険証の提示に御協力下さい。まぁ、クレジットカードを利用する場合毎回提示するのと同じに考えれば良いでしょう。以下に参考までに、保険資格過誤の原因について記載します。

 支払基金の資格関係誤りレセプト発生状況と原因別追跡調査結果(2003年)

 初診時から保険証の未提示 3.5%
 初診時に保険証を確認したがその後未提示 17.5%
 月途中の資格変更で患者の申し出無し 29.8%
 カルテへの転記・入力誤り 21.5%
 明細書への転記・入力誤り 17.0%
 その他 10.7%
 医科歯科計-資格関係誤りレセプト発生原因別件数・占有率
 29770件(一般医療保険・老人を除く)

山形市