倒れた電柱をそのまま修理
   

 例えば、地震がおきて建物や電柱などが倒れて被害が出ることがあります。

 電柱が倒れれば、当然停電して市民生活には大きな影響がでます。実際そういったケースでは速やかな回復が重要です。回復の手段には色々あるでしょうが、場所によっては「ろうそく」「懐中電灯」「自家発電」。このような応急的な対処をしながら、電力会社の方々は一生懸命復旧作業にあたります。盛り上がったり、凹んだ地面を均し、倒れた電柱を撤去して建て直し(電柱を起こし)、電線を張り直して送電の動作チェックをして復旧完了。被災地のみなさんはようやく電気が使えるようになります。

 これを歯科治療に当てはめればこうなるのです。

 大きな虫歯や歯周病で口腔内の環境が破壊された場合、本来は地面を均し(歯周病の治療をし)、倒れた電柱を撤去し(必要な歯を抜き)、電柱を建て直し(歯のないところを入れ)、送電の動作チェック(噛み合わせのチェック)をして完了(治癒)という事になるのです。

 しかし、実際の歯科治療、特に保険診療ではこの「電柱を建て直す(起こす)」という部分が充分に行えないケースがあるのです。例えば、右下の6番目の歯が抜歯が必要な場合、それを抜歯し、通常は5番目の歯と7番目の歯を繋いでかぶせ(ブリッジ)ます。

 しかし、6番目の歯の崩壊が長期に渡ったり、抜いたままの期間が長期に渡ると、7番目の歯が手前に倒れてきたり、上の歯が下の伸びてきたりして治療に差し支えます。こういった場合、本来は倒れて来た歯を垂直に戻し、伸びてきた歯を上に戻して、その上でブリッジを作製しますが、そういった治療はいわゆる「矯正治療」となり保険給付外になります。

 したがって、現状の保険診療は、電柱が傾いたまま電線だけ張り替えるといった中途半端な治療になるのです。おまけに、図(略)にあるようにブリッジを作製するために歯を削ると、容易に神経まで達したり、達しなくても歯がしみたりという結果となるのです。従って、こういった歯の傾斜や移動が起きない内の早期の治療が重要なのです。

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