歯の治療と文化の違い
   

歯科医療とは言うものの、医科の医療とは異なる特殊性があります。

例えば、医科の医療には患者の性格や文化が影響する要素は少ないのですが歯科医療には大きく影響するということです。その代表例を一つあげてみましょう。それは「歯の隙間」ですね。

一般に、日本では上の前歯の間に隙間があることを嫌う傾向があります。しかし、たしかアフリカの某国では前歯に隙間があり、その間から唾を吐くことが美男子の象徴的な文化があると聞いたことがあります。従って、歯科医が日本の患者さんを治療する時には隙間を空けないように注意しますが、違う文化を持った患者さんの治療する場合には隙間を空けるという選択が必要な場合があるのです。

まぁ、これは典型的で代表的な例で説明しましたが、日本国内においても地域性や、患者さんそれぞれの固有の文化によって治療に対する基準(要望)が異なるケースがあるのです。これらは患者さんの文化の違いからおこる現象ですが、中には歯科医の持つ診療基準の違いによって、患者さんから見ると「前の歯医者で治療して貰ったのと違う」という思いをもつこともあります。医科の治療では美容整形でもなければこういったミスマッチングは滅多にないので淡々と治療を行えばいいのですが、歯科ではマッチングさせるのがなかなか難しいのが実情です。さてそういった場合には、患者さんとしてはどう対処すればいいか?まず、治療上の希望があった場合には、歯医者さんに事前にキチンと申し出ることが重要です。しかし、個々の歯科医院の診療方針が存在することも事実ですから、希望に添えない事態がおきる可能性もありますね。そういった場合は、自分の希望に添った治療をしてくれる歯科医院を探す必要があります。

ラーメン屋さんに行って、味が自分の好みでないからと言って文句を言っても仕方ありません。自分の希望の味のラーメン屋さんを探すしかありません。しかし、ラーメン屋さんでも麺のゆで加減を調整してくれたり、常連さんだけの裏メニューを出してくれたりするケースもあります。自分の希望の治療を求める場合には、まずかかりつけの歯科医院を作り、じっくりとコミュニケーションを作る必要があります。これは、何も歯科医院への受診法というより、世の中の付き合い方そのものなんですね。

このように同じ医療と言っても、医科のそれは建て売り住宅やレディメイドの服に似ていますが、歯科のそれは注文住宅やオーダーメイドの服にも似ています。歯科医療費が高いと思われる背景にはそういった事情もあるのです。

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